「息子が一日中、テレビばかり見ている。はあ。困ったもんだわ」
「働きもしなくせに、ゲームばかりしやがって・・・バカ兄貴!」
ニートのご家族を見て、ご両親やご兄妹は呆れているかもしれません。なぜ、ニートは、テレビやゲームに依存してしまうのか?
ひきこもりの“当事者”だったわたしが、その心理を語ってゆきたいと思います。
【体験談】テレビで始まり、ゲームで終わる! ひきこもり時代の一日
わたしは、大学受験に失敗した後、就職活動に失敗した後の計2回、トータル5年近くひきこもっていた過去があります。
子ども時代のいじめが遠因ですが、その話はまた別の機会に。
家に居たほとんどの時間、わたしはテレビを見るか、ゲームをするかしていました。
1日のタイムスケジュール | |
---|---|
4:00~ | 就寝 |
9:00~ | テレビ(ワイドショー) |
12:00~ | 昼食(働いていた母が、昼休みに戻ってくる) |
13;00~ | テレビ(ワイドショー) |
16:00~ | ゲーム |
20:00~ | 夕飯 |
21:00~ | ゲーム |
23:00~ | 深夜テレビ |
深夜2:00~ | ゲーム |
今ふり返ると、自分でも思います。
生産性のない日々を送っていたな、と。仕事に役立つスキルを学んでおけばよかったな、と。昼休みに心配して、戻ってきてくれていた母のことを思うと、心から申し訳なくなります。
しかし、当時のわたしは、たとえようのない焦燥感にかられていました。
ひきこもり&ニートは,どうしてゲーム依存になってしまうのか?【現実に引き戻されるのが怖いから】
ある公的機関のサイトで、こんな回答を見ました。
「ゲームばかりするのは、ゲーム障害だからだ」
と、結論づけていました。
ただ、ニートだから「ゲーム障害」になる、というのはやや短絡的な気がします。
私がひきこもっていた当時、いちばん辛かったのは“寝る直前”です。
すぐに眠りにつけないと、“思考の沼”に陥ります。
同年代の人はみな働いている。家庭を持ち始めた人だっている。自分は
何をやっているんだ?
何をやってるんだ?
何をやってるんだ!?
こんな気持ちになり、追い込まれてしまうのです。
「何もやっていない時間」というのは、「自分自身のことを考える時間」。いうならば、現実に引き戻される時間となります。
テレビを見たり、ゲームに没頭しているあいだだけは、とりあえず“現実を見ないふり”ができます。
テレビの場合、CMの時間さえ苦痛でした。パッと現実に引き戻されるからです。
「勉強」「読書」「スポーツ」「観光」「友だちと遊ぶ」「バイト」・・・ひきこもり状態でないとき、私たちの行動には、“幅広い選択肢”があります。
でも、ニートには“時間をつぶす選択肢”が限られています。
「YouTube」「テレビ」「ゲーム」など、何かを忘れるほど没頭できるものは、限られた選択肢の中から選ばなくてはなりません。
現実逃避を可能にしてくれるのが、テレビやゲームだった。それだけなのです。
ひきこもりから立ち直ったいま、テレビはほぼ見ません。ゲームなんて、最後にやったのがいつか思い出せないほどです。
ホントは、そんなに好きではなかったのです。
>>【体験談】ひきこもりから脱出する唯一の方法は?立ち直るきっかけと,社会復帰のステップとは?
まとめ
ひきこもりは、“現実を忘れるほど夢中になれる何か”を求めていたりします。案外、知恵を使うこと、手を動かすことが好きだったりします。
ですので、その気持ちと生産性のあるものがマッチすると、もしかしたら快復への一助となるかもしれません。